★川口 寿裕 教授
社会安全学部/安全マネジメント学科
「多様な人々が集まる場所での事故を未然に防ぐ方法としてシミュレーションを活用」
オリンピックのような国際的なイベントには、文化・慣習の異なる様々な国と地域から、多くの人が集まります。多様な人々が同じ場所・同じ時間に集中すると、思いがけない事故が発生する可能性があります。私たちは歩行者の流れについて、主にコンピュータ・シミュレーションを使って研究しています。階段や出口の幅・配置などによって人の流れがどう変わるのかといったことは、平常時であれば歩行者空間の快適性に関わる問題です。しかし災害発生時には、階段や出口の設計は避難効率に影響し、安全と強く関係します。人が過密状態になると「将棋倒し」や「群衆なだれ」など群衆事故につながるケースもあります。特に緊急避難や群集事故などは実際の人を使った実験が難しく、国内での過去の事例数も少ないため、コンピュータを使ったシミュレーションが有効だと考えています。
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★橋本 恭之 教授
経済学部/経済学科 公共経済専修
「オリンピックの経済効果には「プラス」も「マイナス」もある!」
オリンピックがもたらす経済効果は、まず建設業界が利益を増やし、その恩恵が建設業界以外にも波及していき、短絡的にプラスをもたらすのです。この「需要の波及プロセス」はマクロ経済という科目で学ぶことができます。 オリンピックの経費は、開催都市が負担するのが基本です。建設費は地方債で、施設維持費は施設利用料でまかなわれます。しかし、開催後はよほどの人気施設でなければ税金で不足分を補填することになるでしょう。長期的に、地方財政へのマイナスの影響があるかもしれません。 2020年の東京オリンピックでも、開催時には経済効果が期待できても、スポーツ施設の維持・補修費が自治体の重荷になることが懸念されます。こうした地方財政の現状と課題を理解し、今後のあり方について考えるのも経済学の一分野です。高校生の皆さんも社会の一因であることに変わりはありません。ぜひ自らのこととして興味をもって学んでみてください。
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「買い物中に充電完了?コンビニは未来のエネルギーステーション」
いつでもどこでも、素早く充電ができる社会になると、電気自動車などのバッテリーが小型・軽量になり、エネルギー効率も高められます。それには、大容量の電気を蓄えられ、素早く充電・放電できるように、現在よりも高性能な蓄電池やスーパーキャパシタを備えた補給基地が街中に多数必要になります。蓄電池は電気をたくさん蓄えること(高エネルギー)に優れており、スーパーキャパシタは電気の急速な出し入れ(高出力)を得意としています。よって両者の生産を可能にする電極材料や電解質材料の研究を進め、その開発に成功すれば、コンビニなどで買い物を済ませる間に携帯機器や電気自動車の充電ができるようになるなど、エネルギー効率と利便性に優れた社会を実現することが可能になります。
Profile
専門は、電気化学で、特に高性能蓄電池やキャパシタの材料開発を推進。
関西大学
http://www.kansai-u.ac.jp/
〒564-8680
大阪府吹田市山手町3-3-35
お問い合わせ
TEL:06-6368-1121(入試センター)
– DATA –
1886年、「関西法律学校」として開校。教育理念「学の実化(じつげ)」のもと、世の中に役立つ学問を理論と実践の両面から学び、世界に貢献できるリーダーの育成に取り組んでいます。