JAXA宇宙飛行士 金井宣茂さん

初の長期滞在は一人前の宇宙飛行士になるための最終試験

©JAXA/GCTC

今年の12月から約半年間、JAXAの金井宣茂宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション(ISS)で初めての長期滞在を行います。
金井宇宙飛行士は、2009年に油井亀美也宇宙飛行士、大西卓也宇宙飛行士とともに選抜された、JAXA新世代宇宙飛行士の一人です。前職は、海上自衛隊勤務の潜水医です。潜水艦とISS、一見すると共通点のないこの二つですが、実はとてもよく似ているのです。海底、宇宙空間という極限環境の中、船内の乗組員は閉ざされた環境で長期間の生活をします。
ひょっとすると、金井飛行士はISSに到着後、かつての職場に戻ったかのような懐かしさを覚えるかもしれません。

▲タンパク質結晶実験に関する
訓練を行う金井宇宙飛行士

ISSにおける宇宙飛行士の最も重要な仕事は、無重力というユニークな環境を生かして地上ではできない貴重な実験を行うことです。金井飛行士の滞在ミッションでは、「健康長寿のヒントは、宇宙にある。」をキーメッセージとして、医学実験や、創薬へつながるタンパク質結晶成長実験など多数の実験を行うことが予定されています。また、医師経験をバックグラウンドとして持つ強みを活かして、実験やISS滞在中に起こる自分の身体の変化などを分かりやすく発信することが期待されます。

宇宙飛行士は、宇宙飛行士として認定されればすぐに宇宙飛行や宇宙滞在ができるわけではありません。金井飛行士が宇宙飛行士として認定されたのは2011年ですが、それからISSの長期滞在ミッションに任命されるまで四年、実際に宇宙に行くまでさらに二年かかりました。ミッションに任命されるまでの間も、宇宙飛行士としての訓練は続きますが、この間は様々なミッションのサポートを行っていきます。

金井飛行士の場合は、ISSで宇宙飛行士が使う実験手順書の検証を行っていました。実験で使う手順書は、地上の管制官が作成するのですが、このように書いてあると効率的に作業ができる、こう書いた方が分かりやすい、宇宙ではこのやり方の方がうまくいく…等、宇宙飛行士の立場から検証し、助言をしていきます。
金井飛行士は、JAXAの運用管制官が作成した手順書も数多く見てきました。金井飛行士が宇宙飛行士の立場で検証を行い、手順書を作成する運用管制官がそれを着実に反映していくという手順を繰り返し、より分かりやすく、使いやすい手順書ができあがってきたのです。実は、JAXAの手順書は、書き方が丁寧で分かりやすい、図や写真の指示が的確だと各国の宇宙飛行士からも評判がよいのです。また、このようなサイクルを通して、金井飛行士が軌道上滞在後に相棒となる地上の管制官との信頼関係を築いているのです。

金井飛行士にとって、初めての宇宙飛行・長期滞在となる訳ですが、今回の長期滞在は一人前の宇宙飛行士として仕事をしていく上での最終試験のようなものと話しています。金井飛行士には、今回のISS長期滞在ミッションを成功させ、この先に続く有人宇宙ミッションへつなげていってほしいと思います。
金井飛行士はTwitter(@Astro_Kanai)とブログ(金井飛行士ブログ「宇宙、行かない?」 https://ameblo.jp/astro-kanai)で宇宙からの生の声を届けてくれていますので、こちらもぜひご覧ください。

佐孝 大地(JAXAフライトディレクタ)

▲金井宇宙飛行士が参加するJFCTミーティングの様子

 

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